楽園の炎

「そう、なんでしょうけど。あの雰囲気のまま、お部屋に響き渡る程の大声で笑うもんですから、はっきり言って、ぞっとする笑いでしたよ」

セドナも、ちょっと顔を引き攣らせた。

「わたくし、もう早く解放してくれることだけを、切に願っておりましたわ」

「ユウと喧嘩するのが、怖くなってきたわ」

項垂れて、朱夏は呟いた。
優しい夕星しか知らないため、朱夏には今の夕星の状態が想像できない。
セドナが、ぽんと朱夏の肩を叩いた。

「朱夏姫様相手に、そんなにお怒りになることはありませんよ。夕星様がそこまでお怒りになるのは、アリンダ様に対してだけです。それに、大嫌いなアリンダ様が、大好きな朱夏姫様を傷つけた、という負の相乗効果で、ただでさえ今は、怒りマックスですから。普段は、お怒りになるといっても、知れたものですよ」

セドナの言葉に、ぽりぽりと朱夏は頭を掻いた。
そして、腫れ上がった手首を翳す。

「・・・・・・あたしは、ユウに会いたいなぁ」

夕星の怒りが凄まじいと聞いても、やはり会いたいと思うほうが、怖いと思う気持ちより強い。
アルが、手首に薬を塗った布を巻き付ける。

「一番見えてしまう手首が、一番酷く怪我しておりますね。う~ん、夕星様に会いたいと思われるのはわかりますけど、この傷を見せる勇気は、わたくしにはありませんわ・・・・・・」

「これ、どのくらいで治るかなぁ」

「結構酷い傷ですから、注意しないと体調まで崩しますよ。熱、持ってますもの」