楽園の炎

「あの守り刀が朱夏姫様に渡っていて、本当に良かった。守り刀とは言いますが、あれを実際に使うことなど、あるものではありません。使わずに済めば、それに越したことはないのですがねぇ」

「わたくしも、首飾りにしてもらおうかしら。綺麗だもの、身につけるにも、いいものね」

ナスル姫が朱夏の守り刀をきゅっと拭き、憂杏に渡しながら言う。
憂杏は、そうだな、と言いながら、ナスル姫の頭を撫でた。

「でも、お姫さんは、俺がちゃんと守ってやるよ。言ったろ?」

こく、と頷き、ナスル姫は憂杏に寄り添う。
そんな二人を見ながら、セドナはうんうんと頷いている。

「憂杏さん、本当に頼みましたよ。でもナスル姫様は、べったり憂杏さんにくっついていられるので、返って安心です。朱夏姫様は、我々ががっちりガードしないといけませんしねぇ。朱夏姫様、何故よりによって、一人歩きしようというときに、いつもの剣をお持ちじゃなかったんです」

「え、だって、あんまりあんなもの、持ち歩くもんじゃないでしょうし。皇后様にも、大ぴらに武器を持ち歩くのは、好ましくないって言われました。見ただけで、強さがわかってしまうからって」

セドナは朱夏があの剣で、アリンダを刺してもいいと思っているようだ。
確かに夕星も斬り捨て御免と言っていたが、実際に皇子を斬り殺していいわけないだろう。