楽園の炎

言うが早いか、扉が開かれ、セドナが入ってくる。
セドナは朱夏を見、少し離れたところにいるレダにも視線を投げると、すぅ、と息を吸い込んだ。
レダが、慌てて朱夏の傍まで走り寄り、がばっと平伏する。

「この・・・・・・馬鹿者おぉっ!!」

聞いたこともないような大声に、朱夏もレダも縮み上がる。
セドナはそんな二人に、ずいっと一歩近づいた。

「あれほど一人歩きは危険だと、注意したではありませんか! 武器も持たずにふらふら出歩くなど、何を考えておいでです! レダ!! お前も何故お止めしなかったの! 姫君に何かあったら、どうするつもりなんですか!!」

さらに遠慮無く、ごんごん、と朱夏とレダの頭に拳骨を見舞う。
アルファルドでも、よく桂枝に怒られていたが、こんな怒鳴られたのは初めてだ。
まして、拳骨が飛んでくるとは。

朱夏は驚いて、殴られた頭を押さえたまま、茫然とセドナを見上げた。

ひとしきり二人を叱り飛ばした後、セドナは、ふっと息をついた。
やっと表情を和らげ、朱夏の前に跪く。

「でも本当に、ご無事でよぅございました。憂杏さんのところに行くという書き置きを見つけたときは、肝を潰しましたよ。しかも、すぐに憂杏さんのところに使いをやっても来られてないと言うし。近衛隊を動員して、即捜索にあたりましたが、もうもう、わたくしは気が気ではありませんでしたよ」

「ご、ごめんなさい」

「申し訳ありませんでした」

朱夏もレダも、素直に謝る。
あまりの迫力に、憂杏も引き気味だ。

ナスル姫は、何度かこういうセドナを見たことがあるようで(おそらく夕星に対して怒っていたのだろう)、特に驚きはしない。
まぁまぁ、と宥め、セドナに椅子を勧める。