楽園の炎

小宮でレダと一緒に、憂杏の手当を受けた朱夏は、ナスル姫が淹れてくれたお茶で一息ついた。

きょろ、と部屋を見渡す。
真っ先に来て欲しい夕星が、いまだに姿を現さないのだ。

不安そうにきょろきょろする朱夏の横に、ナスル姫が堅い表情で座った。

「朱夏。お兄様はねぇ、今は、会わないほうが良いと思うわ」

「え・・・・・・?」

アリンダに襲われたから、嫌われたのだろうか。
いかにも悲しそうな表情になったのだろう、ナスル姫が、慌てて首を振る。

「違うのよ。今回のことで、お兄様のお気持ちが変わったとか、そういうことは、全然ないのよ。でもねぇ・・・・・・今のお兄様は・・・・・・怖いわ」

「怖い?」

「尋常じゃない怒り方でね。アリンダ様は、もちろん父上の怒りにも触れて捕縛されてるけど、お兄様も、軟禁状態よ」

「ど、どうして?」

今回の首謀者であるアリンダが軟禁されるのはわかるが、何故夕星までもが軟禁されるのだ。
朱夏は身を乗り出した。

「アリンダ様を、殺しかねないからよ」

「目を離したら、何するかわからん状態ってことか」

ナスル姫の言葉に、憂杏が納得したように頷く。

「第二皇子に、ユウは会ったのか?」

憂杏が、ナスル姫に問うた。

憂杏はあれからずっと、朱夏の傍にいたが、ナスル姫は状況把握のため、皇帝陛下のところなどに行っていたのだ。
夕星にも会っただろう。