楽園の炎

そんなことは知らない兵士は、それこそ無我夢中で掴みかかってくる。

レダが扉の前で、朱夏を庇うように身体を反転した。
朱夏を扉側にし、兵士の前に立ちはだかる。

扉には鍵がかかっており、簡単には開かない。
特殊な鍵なのか、どこをどうすれば開くのか、いくら押しても引いても、びくともしないのだ。

その間に、兵士はレダに掴みかかる。
朱夏は焦って、扉を力一杯叩いた。

夕星が、近衛隊の何人かを付けてくれていたはずだ。
どこかにいるかもしれない。

「誰かっ! 誰か来て!!」

大声で叫び、ドンドンと扉を叩く朱夏に焦った兵士が、レダを突き飛ばすと同時に、朱夏の髪を鷲掴みにした。

「黙れ!」

掴んだ髪を力任せに引っ張る兵士に、朱夏は引き倒された。
頭に激痛が走る。

レダが、倒れた朱夏に馬乗りになる兵士に飛びかかる。
そうこうしているうちに、よろめいていた兵士も回復したのか、加勢に来る。

最早ちんたらしている猶予はない。
そのうち、悶絶している兵士も回復する。

朱夏は守り刀を握ると、鎖を引きちぎった。
切っ先を咥え、鞘を取る。

そのまま、朱夏は自分にのしかかっている兵士の二の腕に、守り刀を突き立てた。