楽園の炎

朱夏はアリンダ一人でも持て余しているのに、三人など、とても蹴散らせないだろう。
早く助けないと、と思っていると、アリンダが顔を上げた。

「さすがに大人しくなったな。おっと」

にやりと笑い、何か思い出したように傍の布を丸めると、乱暴に朱夏の口に突っ込む。

「ううっ」

息苦しくなり、朱夏は顔をしかめて唸った。

「行為の最中に、舌でも噛み切られたら興醒めだ。終わってからなら、好きにすると良いがな。あいつが苦しむことには変わりない」

心底楽しそうに言うアリンダの言葉に、朱夏の怒りが頂点に達した。

ぎっとアリンダを睨み付けると、縛られた両手を一旦引き付け、朱夏の上で笑うアリンダの鼻目掛けて、力一杯突き出した。

「ぶふっっ!!」

朱夏の両拳は、夕星に教わった通り、正確にアリンダの鼻に命中する。
ごきっという鈍い音と共に、文字通り、アリンダの鼻っ柱が折れた。

「はっ・・・・・・ひいぃっっ!!!」

思いも寄らない攻撃に、さすがのアリンダも悲鳴を上げる。
皇子という立場上、このような扱いなど、受けたことがないのだろう。
驚きと痛みで、アリンダはパニック状態だ。

朱夏は身体を丸め、足を引き寄せると、今度はアリンダの顎を蹴り上げる。

本気の実戦経験などない。
それ故、力の加減などもわからない。

力一杯蹴り上げられたアリンダは、仰向けに倒れると同時に、寝台から落ちた。
レダにのしかかっていた兵士が、驚いて駆け寄ってくる。