楽園の炎

---かっわいいなぁ---

朱夏は特に、子供好きというわけではない。
というか、これほど小さい子供と接する機会というのがなかったのだが、ニオベ姫は異様に可愛いと思ってしまう。

ちょっときつい顔立ちだが、皇太子の姫君のわりに、妙に澄ましたところもない。
朱夏がこれだけ可愛いと思うのだから、子供好きの憂杏など、そりゃあ可愛がるだろう。

しばらく焼き菓子を頬張っていたニオベ姫だったが、その瞳が、朱夏の横に立てかけてある剣に吸い寄せられた。

「おっきな剣ね。朱夏お姉ちゃまの?」

まじまじと剣を見、不思議そうに朱夏を見る。

「何でお姉ちゃまなのに、剣なんて持ってるの?」

「う~ん、ごもっともなご質問ですね。あたしはこれでも、武官でしたから」

「ぶかん?」

ってなぁに? というように、皇后を見上げる。
トゥーラ皇后は、優しくニオベ姫の髪を撫で、カップを取った。

「葵王様の、側近のようなものですよ。ニオベ姫のお父様をお守りする、アシェンみたいなかたのことね」

皇后の言葉に、ニオベ姫はしばらくぽかんとしていたが、ぱっと朱夏に顔を戻すと、がばっと身を乗り出した。

「凄い! 朱夏お姉ちゃま、アシェンとおんなじぐらい、お強いのね?」