楽園の炎

「ほほほ。陛下は昔から、アルファルドがお好きでしたから。わたくしも、陛下のお話に魅せられた一人ですわ。ですから息子にも、アルファルド式の名前をつけましたし。そうそう、朱夏姫様のお父上にも、何度かお会いしましたよ。落ち着いた、良いかたでした」

今更ながら、炎駒がアルファルド王の側近として、いろいろなところの地位ある人間と渡り合ってきたことを思い知る。

---一の側近って、やっぱり凄いんだ---

改めて、朱夏は父を誇りに思った。

「今回は、アルファルドの葵王様もいらしておりましたね。大きくなられて、陛下もことのほかお喜びでした。ククルカンにしばらく留学されるんですって?」

「はい。王太子として、外交を勉強したいとのことです」

きょとんとしているニオベ姫に、トゥーラ皇后は焼き菓子を与えながら説明する。

「ニオベ姫は、昨日は気づかなかったかしら? 朱夏姫様と一緒に、王子様がいらしたでしょう?」

「おうじさま?」

両手で持った焼き菓子を囓りながら、ニオベ姫が首を傾げる。

「おうじさまが、いらしてるの?」

興味をそそられたらしく、ニオベ姫はトゥーラ皇后を見上げた。

「葵って呼んであげてください。しばらくご厄介になりますから、ニオベ様も遊んであげてくださいね」

「あおい様? どんなかたなのかしら」

もぐもぐと焼き菓子を囓りながら、ニオベ姫が小首を傾げる。