楽園の炎

しかし、だとすると見かけで判断しているということだろうか?
そう考えて、再び朱夏は、ぶは、と吹き出す。

「ニ、ニオベ様からしたら、夕星様というのは、そんなおじさんに見えるんですか?」

そういえば、憂杏にも『ジジくさい』と言われていた。
よく考えてみれば、確かに葵のような初々しさはない。

だがそれは、あらゆる経験の違いだと思う。
朱夏からすれば、それは頼りがい、ということになるのだ。

「夕星様は、しっかりしてらっしゃるから。実年齢よりも、上に見えるかもしれませんわね。でも、随分子供っぽいところもありますよ」

トゥーラ皇后が、笑いながら言う。

「そうですね。あたしはどちらかと言うと、夕星様は子供っぽいと思いますけど。初めて会ったときも、アルファルドの森の泉で、水浴びしてましたし」

それとか、しばらく商人に化けて、本当に市で店を開いてみたり、夜中に宮殿に忍び込んで飼い葉まみれになってみたり、と、アルファルドでの彼の行動を口にする朱夏に、トゥーラ皇后は微妙な顔になる。
逆にニオベ姫は、面白そうに瞳を輝かせて、朱夏の話に聞き入った。

「まぁおじちゃまったら、そんな面白いことしてらしたの。アルファルドって、とっても綺麗なお国なんですってね。おじいちゃまが、よくお話してくださるの」

「そう・・・・・・なんですかね。あたしはアルファルド以外の国を知りませんので、祖国がそんな美しい国だとかは、よくわからないんですけど。皇帝陛下には、本当に良くしていただいて。アルファルドが美しくあられるのも、皇帝陛下のお陰です」

ぺこりと、朱夏はトゥーラ皇后に頭を下げた。