楽園の炎

「憂杏は子供好きですから、ニオベ様が懐いてくれるのは嬉しいでしょう」

にこりと笑う朱夏に、ニオベ姫も、えへへ、と笑い、次いでまた照れたように、もじもじとした。
ちらちらと朱夏を見つつ、トゥーラ皇后を見上げる。

「えっと、しゅ、朱夏お姉ちゃま?」

朱夏を指差し、照れ照れ、というように皇后に言う。
『お姉ちゃま』などと呼ばれたことがないため、朱夏のほうも照れてしまう。
『朱夏』でいいです、と言いたいところだが、そういうわけにもいかないだろう。

曖昧に笑って、朱夏はニオベ姫を見た。

「よろしくお願いしますね、ニオベ姫様」

途端に、ニオベ姫の顔が輝く。

「朱夏お姉ちゃまは、夕星おじちゃまのお嫁さんよね?」

ぶは、と朱夏は吹き出した。
確かに夕星は、ニオベ姫からしたら叔父に当たるが、朱夏が『お姉ちゃま』で夕星が『おじちゃま』とは。
くくく、と肩を震わせながら耐えている朱夏に、ニオベ姫はきょとんとする。

「あはは。ああ、ええ。そうですね。ですからあたしは、ニオベ姫様からしたら、『朱夏おばちゃま』ということでしょうか」

「ええ? だって朱夏お姉ちゃま、ナスルお姉ちゃまと同じぐらいだって、父様からお聞きしたわ」

どうも関係どうこう、ということで『叔父』『叔母』と言っているわけではないようだ。

---ま、こんな小さい子に、そこまでわかんないか---