楽園の炎

「ちょっと接せればわかるんですけど、憂杏はとてもとても、王宮勤めで満足するような人間じゃないですよ。もっと自由な地位を望んだ結果だと思います。似合ってると思うんですけど」

そうなんですか、と、トゥーラ皇后は再びお茶を足そうとして、茶器が空になっているのに気づいた。

「あら、もう空だわ」

呟き、ぱんぱんと手を鳴らす。
すると、即座に侍女が入ってきた。

「お茶の葉を替えて、お湯を足して来てちょうだい。あと、軽いお菓子もね」

「かしこまりました」

侍女は素早く茶器を片付け、足早に去っていく。
きびきびとした、そつのない動きだ。

兵士もそうだが、侍女も完璧に教育が行き届いている。
特に皇帝陛下の正妃付きともなれば、侍女といえども凄い威厳だ。
セドナにも感じたが、改めて凄いなぁ、と感心してしまう。

ぼんやりと侍女の去った後を見送っていると、トゥーラ皇后が不思議そうに声をかけた。

「どうかなさった?」

「あ、いえ。何だかやっぱり、ククルカン皇帝の正妃様付きとなると、侍女殿も凄くしっかりしてらっしゃるなぁって」

言ってから、朱夏は、あれ? と首を捻った。
皇后も、同じように首を傾げる。

「朱夏姫様だって、アルファルド王のお側にあったのでしょう? だったら、同じような地位の侍女など、見慣れておりましょうに」

ははは、と笑いながら、朱夏はぽりぽりと頬を掻いた。

「そう・・・・・・ですね。あたしも、今そう思いました。でも、こちらのお城に入って、つくづく思いましたけど、アルファルドとククルカンは、やはり規模からして全然違いますし、治めている規模が違うと、こうも備わるものが違うのかと、思い知った感じです」

笑いあっているところに、先程の侍女が戻ってきたような足音が聞こえた。
が、何か慌てている。