楽園の炎

「あ、レダ、ごめんね。置いて来ちゃったね」

謝る朱夏に、レダは柔らかく笑いかけた。

「大丈夫ですよ。朱夏姫様の行き先は、ちゃんと掴んでおります。今は夕星様もおられますから。でも、ご自分でもお一人になられないよう、気をつけてくださいね」

そう言って朱夏の周りを取り囲む。
部屋を出ると、さらに兵士が付き従った。

「・・・・・・俺までもが、朱夏に近づきにくくなってるな」

ぼそ、と聞こえた声に振り向けば、夕星が葵と一緒に出てきたところだった。

「あ、そういえば、ユウはいっつも、どこにいるの? 葵の部屋は?」

「俺は自分の部屋があるよ。南側の、どん詰まり。葵王は、賓客用の部屋だろ? 中央宮の東側じゃないか?」

簡単に説明する夕星に、葵は首を傾げた。
きょろ、と辺りを見回し、もう一度首を傾げる。

「う~ん、そうですね。確か、そっちの方向です。大きな噴水のある庭に面したお部屋でした」

「ああ、父上の部屋にも近いところだな。庭の向こう側が、皇族の部屋だ」

「?? ユウも、その辺ってこと?」

位置関係は、さっぱりわからないが、葵の部屋が皇族の部屋と近いということは、夕星の部屋とも近いということではないのか。

だが夕星は、軽く肩を竦めた。

「いいや。俺はもうちょっと、離れてる」

にっと笑い、そのまま歩き出す。