楽園の炎

「そうだな・・・・・・。城に入るのは躊躇っていたが、ナスルがいるし・・・・・・。今はとりあえず、兵舎に近い離れの小宮に入ってもらっている。明日にも、詳しく話をするつもりだ」

「良い奴ですよ。父上にとってはナスルを手放すのは寂しいことでしょうが、ナスルのためにもなると思います」

夕星が言い、皇帝も意味ありげに、うむ、と頷いた。
そして、朱夏を見る。

「朱夏姫。先程はすまなかった。あれが、第二皇子のアリンダだ」

やはり、と朱夏は唇を噛む。
紹介されるまでもなく、すぐにわかった。
今この場にいないところを見ても、重臣たちからも見放されているようだ。

「全く、何という失礼な奴なのか。初対面の姫君に向かって、小娘などと。葵王殿にも、不愉快な思いをさせてしまったな」

「でも、アリンダ様の言うとおりといえば、そうですよ。朱夏に守られているのは、事実ですから。ただ、アリンダ様は、朱夏の腕前を見くびってますね。僕も、ただの小娘に守られているわけではありませんから」

明るく言った葵に、皇帝は少し驚いたようだが、すぐに、ははは、と豪快な笑い声を上げた。

「そうか、それもそうだ。それに、夕星の選ぶ姫君が、ただの小娘なわけはないものな。やはり、あ奴に人を見る目はないな」