楽園の炎

「そうそう、葵王殿。今回のナスルのことは、本当にすまなかった」

皆それぞれ談笑しながら食事を始めた頃、皇帝が葵に声をかけた。

「私も、可愛がっている娘と、お気に入りの葵王殿が上手くいけば、これほど嬉しいことはなかったのだ。それで、つい先走ってしまった」

「いえ、どうぞ、お気になさらず。ナスル姫様のことは、おそらく僕では役不足でしょう。・・・・・・あの、ナスル姫様がおられないようですが・・・・・・そのぅ、お話は、お聞きですよね? お許し、いただけるのでしょうか」

葵も気になっていたらしい。
朱夏もじっと、皇帝陛下を見た。
皇帝は、何ともいえない表情を浮かべ、ううむ、と唸って、ちらりと皇后を見る。

「・・・・・・どうしたもんかな」

杯を傾け、ぽつりと呟く。
絶対に許さぬ、という気持ちもないようだが、簡単に認めることもできないようだ。

「挨拶には、来たのですよね?」

口を挟んだ朱夏に、うむ、と頷き、皇帝陛下は、ふぅ、と息をついた。

「隊が着いてすぐに、庭先で面会を請われた。事前に聞いていたものの、何事かと思ったぞ」

「庭先で・・・・・・」

「商人である自分が、城の奥まで入るわけにはいかない、と言うておった」

ということは、ナスル姫もその憂杏に従って、城には入っていないのだろうか?

「まぁ、きちんとしたかたでは、ありましたわね。驚きましたけど」

くすくすと、皇后が笑う。
さもありなん、と、憂杏を知る全員が、渋い顔でこくこく頷いた。