楽園の炎

「さぁ、では皆、食事にしよう」

皇帝が声をかけると、扉の前に控えていた侍女が合図をし、皆それぞれ席につく。
朱夏も、夕星に伴われて席についた。

そこで初めて、ナスル姫と憂杏の姿がないことに気づく。

「ね、憂杏は?」

横に座った夕星に、こそっと聞いてみると、彼は軽く肩を竦めた。

「あいつは商人だからな。本来なら城に入ることも叶わないだろうに、この上重臣らの列席する晩餐会など、とてもじゃないと辞退したのさ」

「え、じゃ、ナスル様も?」

こそこそ喋っていると、目の前の杯に果実酒が入れられ、皇帝が杯を掲げて声を上げた。

「皆、今宵は皇太子の帰還に、何より夕星の婚約祝いだ。もう一人、祝ってやりたい者がいるが、とりあえずは夕星、朱夏姫のことを祝福しよう。我が放蕩息子が、砂漠の宝石で本物の宝石を見つけてきた。また、アルファルド王太子、葵王殿の留学も歓迎する」

「乾杯!」

皆、杯を掲げて声を上げる。
夕星も皆のほうを向いて、杯を掲げてみせると、中身を一気に飲み干した。