楽園の炎

「お綺麗ですわ。やはり、やんちゃな姫君でも、元がそれなりのおかたですから、きちんとした格好をなされば、これ、この通り」

「そうですね。朱夏姫様、皆の前では、いえ、特にアリンダ様の前では、たおやかな姫君を演じられませ。初めから溌剌としてらしたら、何か企もうにも力業に及ぶでしょうが、か弱いふりをしておれば、まんまと油断しますわよ。人の本質を見抜く力など、あのおかたに、ありはしませんから。散々油断させた後で、こてんぱんにぶちのめせばよろしいのです」

レダがまた、物騒なことを言う。
しかも、厳しそうなセドナまでが、窘めるどころか、大きく頷いている。

「そうね。ちょろい相手と思われていたほうが、後々やりやすいかもしれません」

まるで、絶対にアリンダは、朱夏に対して何か事を起こすだろうという言い方だ。
何となく、気が重くなってしまう。

そんな気持ちを察してか、セドナが優しく髪を撫でた。

「大丈夫ですよ。わたくしたちが、全力でお守り致します。そのために、侍女らも兵士の訓練を受けておりますし、近衛隊の者もついております」

国を出るときに父からもらった薄いショールをかけ、セドナの案内で、朱夏は晩餐会の会場へと向かった。