楽園の炎

たじたじとなりながら、朱夏は曖昧に笑い返した。
すると、横にいたレダが口を挟む。

「駄目ですよ。いくら朱夏姫様がお強いといっても、ここには油断できないかたがおられるんですから。お一人で歩き回るなど、もってのほかです」

「へ?」

どうやら一人歩き禁止の理由が、今まで朱夏がよく怒られていたような理由ではないようだ。
ちょっと考えて、朱夏は、ああ、とあることに思い至る。

「えっと、第二皇子のこと?」

少し声のトーンを落として言うと、付き従っていた侍女皆が頷く。
なるほど、だから城に入るなり、急に朱夏の身辺警護が厳しくなったのか。

「あの、そんなに・・・・・・何というか、凄いの? 第二皇子って」

おずおずと聞いた朱夏に、再びその場の全員が頷く。
あまりの反応に、朱夏は思わず思いっきり引いてしまった。
セドナが眉間に皺を刻んで、ふぅ、と息をつく。

「ご覧になればわかる・・・・・・と言いたいところですけど、残念ながら、見てくれはそれなりです。曲がりなりにも、あのおかたも皇帝陛下の実のお子ですからね。わたくしどもは、あのかたの所業を知っておりますから、お姿を見るのも汚らわしいと思ってしまいますが、そうでないかたは、どういう感じを受けるのでしょうね・・・・・・」

姿を見るのも汚らわしいとは。
これまたえらい言われようだ。

「ナスル様は、品も威厳もないかただって言ってたけど・・・・・・。う~ん、想像つかないわ」