楽園の炎

---こ、これは桂枝よりも、随分手強いかも・・・・・・---

知らず後ずさりする朱夏に、セドナは再び笑いかける。

「まぁ、ほほほ。そんな構えなくても。朱夏様も、わたくしのような侍女がいらしたはずでは? 相当怒られてきたのかしら?」

早くも朱夏の性質を見抜いたようだ。

セドナは持っていた大きな布を広げると、朱夏の腕を取り、湯から引き上げた。
朱夏の身体を布で包むと、左右からわらわらと侍女が取り巻き、髪を拭いたり香油を擦りつけていく。

こういうことは初めてではないが、こんな大勢の侍女が寄って集って世話を焼くというのは初めてだ。
何となく迫力に気圧されて、朱夏は動くこともできずに突っ立ったまま、されるがままになっていた。

「さ、ではお部屋にご案内致します」

ゆったりとしたローブを着せられ、セドナに促されるまま湯殿を出た。
廊下にレダの姿を見つけ、朱夏は少し、ほっとした。

レダは他の数人の侍女と共に、朱夏の横について歩く。
朱夏の周りを固める侍女は、ククルカンへの道中も一緒だった者たちだ。
警護役なのだろう。

---お城の中なのに、物々しいなぁ。そういえば、ちょっと離れて兵士もついてるみたい---

このように周りをがっちりと固められたことがないため、どうも落ち着かない。
気を紛らわせるためもあり、朱夏はきょろきょろと辺りを見回した。

広い廊下は隅々までぴかぴかに磨き上げられ、細密な彫刻が施された柱には、宝石のような燭台がついている。
高い天井にはレリーフが刻まれ、どこがどうなっているのか、外の光を取り入れているようだ。