楽園の炎

「今後はわたくしを母とも思い、頼っていただけると有り難く思います」

にこりと笑うセドナは、アルファルドの桂枝よりも、随分威厳がありそうだ。

---ユウを育てた人だものね---

ひっそりと思いながら、朱夏は再度、ぺこりと頭を下げた。

「世間的には高官の娘とはいえ、夕星様と似たような質(たち)なものですから、ご迷惑をかけることが多いと思いますが、何とぞお手柔らかに、お願い致します」

先に朱夏は、自分の性質について、素直に告白した。
後で呆れられるよりも、先に心の準備をしておいてもらおうと思ったのだ。

夕星はこの大帝国の第三皇子であり、宰相の地位にある人だ。
そのお相手となると、相応のおしとやかな深窓の姫君だと思われても困る。

だがセドナは、朱夏の告白に、おほほ、と湯殿に響き渡るほどの笑い声を上げた。

「ええ、そうでしょうね。あの夕星様が、お人形のような女性に満足するなど、露ほども思っておりませんわ。なるほど、夕星様と似たご性格・・・・・・。結構結構。腕がなりますわ」

笑いながらも、ぶんぶんと腕を回す。
楽しそうである。
朱夏は、ひく、と顔を引き攣らせた。

「聞けば、ナスル様は商人と一緒になりたいと申しておられるとか。となれば、お城を出ることになりましょう。手塩にかけた、やんちゃなお姫様が我が手から飛び立つのを、寂しく思っておりましたが、入れ替わりに、さらにお元気な姫君がいらっしゃったのですから。嬉しいこと、この上なしですわよ」

どうやら、手のかかる人間の世話は、慣れっこのようだ。