楽園の炎

「けど確かに、お前たちが事前に来てくれたのは良かった。明日は城に入る。近衛隊は、通常の兄上の警護はもちろんだが、朱夏の警備をしっかり頼む。・・・・・・アリンダがいるからな」

「ははっ! もとより、そのつもりです」

先程までの和やかな空気が、一瞬にして引き締まる。
そういえば、以前皇太子が『近衛隊は夕星に忠誠を誓っている分、アリンダを毛嫌いしている』と言っていた。
この空気からも、ありありとそれがわかるほどだ。

「この中からも、朱夏付きを選ぶか。う~ん、そうだ」

良いことを思いついたように、夕星が朱夏を振り向いた。

「朱夏。こいつらと手合わせしてみるか? 勝ち抜きにして、優勝した奴が、朱夏付きになるってのは?」

夕星の提案に、朱夏は目を剥いた。
が、兵士らは、わぁっと歓声を上げる。

「何と! そのようなことが可能とは! 朱夏姫様の腕前は、それほどのものなのですか」

「わ、我らの護衛など、もしかして必要ないのでは?」

「我らが逆に守られるハメになるかも。お恥ずかしい限りですな」

皆、まじまじと朱夏を見る。
その視線に、朱夏は慌てて否定した。

「ちょ、ちょっと、何言ってるのよ。あたし、アルファルドではともかく、ククルカン兵には敵わないんだから。勝ち抜きも何も、一回戦で負けちゃうわよ」