楽園の炎

「まぁいい。今後は俺同様、朱夏も守ってもらわねばならん。よろしく頼むぞ」

「朱夏と申します。よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げる。
おおおっと、また歓声が上がった。

「朱夏はアルファルド王の側近の姫君だ。のわりに、葵王のお付き武官を務めていたほどの武人だが、油断は禁物だ。何と言っても、か弱い女の子だからな」

抱いた肩を引き寄せて言う夕星を、朱夏は真っ赤になって押し戻す。

「もちろんです。お任せください」

近衛隊一同が、声を合わせて深々とお辞儀する。
そのびしっと揃った姿に圧倒されたのも束の間、すぐに兵士たちは、我先に朱夏へと話しかける。

「朱夏様か。我らは夕星様直属の近衛隊。言うなれば、朱夏様の配下でもあるわけです。何かありましたら、遠慮無くお申し付けください」

「近衛隊は夕星様に忠誠を誓う者ばかりです。その妃たる朱夏様のことは、当然お守り致します故、ご安心を」

「ああ。態度は軽いが、組織力は半端ないぞ。個々の能力も秀でている」

朱夏に押しのけられてもめげずに、腕の中に彼女を封じ込めながら、夕星が言う。

個々の能力の秀でた者を、そこまで見事にまとめられるのは、長である夕星の能力の高さに他ならない。
長の能力が低ければ、いくら個々が優れていても、組織力など発揮できないのだから。