楽園の炎

「ふ~む、半数ぐらいか。さすがに隊長は、これしきのことで浮かれなかったようだな。居残り組か」

「いえ。隊長殿が率先して来ようとしておりましたので、公平にくじで決めました」

「・・・・・・あのな・・・・・・」

夕星が、頭を抱える。
つまり、近衛隊のほぼ全員が、このお迎えに加わる権利を巡って、くじ引きをしたというのだ。

「人気者なのね」

ぼそ、と呟いた朱夏に、一歩前に出ていた兵士が、ははは、と笑った。

「もちろん夕星様も人気ですが、今回は何と言っても、その夕星様が見初めた姫君を連れ帰るということですので。そりゃあ皆、来たがって、大変でしたよ」

「夕星様、いい加減に紹介してくださいよ」

「聞くところによると、アルファルドの高官の姫君とか?」

堰を切ったように、兵士らが口々に言う。
うんざり、というように皆を見回し、夕星は朱夏を振り返ると、肩に手を回して、少し前に誘(いざな)った。

「早耳だな。全く、情報収集に優れた奴は、こういうとき厄介だ」

「夕星様のおためですよ。いかなるときでも、正確に情報を把握しておかねば」

言っていることはアシェンと似ているのだが、雰囲気からして、まるで違う。
堅さなど、微塵も感じない。
皆にこにことフレンドリーだ。