楽園の炎

何言ってるんですかっと、小声で叫ぶアルを無視し、朱夏は、ぷい、とそっぽを向いた。

「それは・・・・・・」

ちょっと困ったようだが、アシェンは意外にも、アルが脱ごうとしていた朱夏の外套に手をかけると、素早くアルに着せてしまった。

「駄目ですよ。アル殿が倒れられても、私は何も、して差し上げられません。できる限り、不快でないよう努力致しますが、雨は防げませんので。濡れると体温を奪われますし、この気温では、アル殿もきついでしょう」

「で、でも。この外套は、朱夏様がこの旅用にお作りになったものですのに」

もっともなことを言うアシェンに、アルは困惑したように朱夏を見る。
が、朱夏はぽんと肩を叩くと、くるりと踵を返してしまった。

「いいから。ではアシェン様、よろしくお願いしますね」

言いながら、さっさと夕星のほうへと駆け戻ってしまう。
しばらく茫然というように、朱夏の後ろ姿を見送っていたアルは、ちらりとアシェンを見ると、仕方ない、という風に、一つ息をついた。

「まぁ・・・・・・実はわたくしも、凍えそうでしたので。アシェン様は、あまり着込んでらっしゃらないようですけど、平気なのですか?」