楽園の炎

「そんなに気を遣わなくても。アルも、特に疑問もなくアシェン様の看病についたのですし。朱夏に言われなくても、アシェン様の具合が悪いと聞けば、来てくれたでしょう」

それなりにアルの性格を知る憂杏ならではの見解であり、朱夏や夕星のような下心はないのだが、それでもアシェンは、しきりに照れる。

「いえ、そのような・・・・・・。そ、それに、アルシャウカット殿の前で休むなど、とてもとても。吐き気は我慢できましたが、冷や汗だけは、止めようもありませんので、それを拭いてくださるだけでも、恐れ多いことですのに」

さりげなく、憂杏は顔を背けて笑いを噛み殺した。
憂杏も夕星同様、こういう者は、ちょっとからかってみたくなる。

「ああ、アシェン様は、女性がお嫌いなんでしたな」

何気なく言った言葉に、アシェンは過剰に反応した。

「きっ嫌いなわけでは・・・・・・! ええっ決して、アルシャウカット殿を嫌う嫌うなどということは、ありませんともっ!」

あまりに必死な反応に、振った憂杏が驚く。

「いやでも・・・・・・。朱夏やナスル姫さんには普通に見えるが、アルには何か、態度が違うように見えますが」

さらに突っ込んでみると、アシェンは、う、と言葉を詰まらせた。
ふらりとよろめきそうになり、アシェンはずるずると、その場に座り込んだ。