楽園の炎

そう言って、ひょいと部屋の奥を指す。

今の部屋は、皇族の部屋らしく、広々とした豪華な部屋だが、一つの船にこんな部屋がいくつもあるわけではない。
この部屋の他は、普通の船員用の、小さな部屋ばかりだ。
今回のように、それなりの身分の者が多い場合は、この部屋を区切って使うしかないのだ。

「そうすれば、細々区切らなくてもいいし、面倒でもないでしょ? 寝台も、大きなもの二つぐらいあれば、皆で寝られるでしょう」

「・・・・・・その寝台の割り振りは、どうする気だ」

「女性陣、男性陣よ」

うげっと夕星が、顔をしかめる。

「また俺に、憂杏と寝ろってのか」

「引っ付いて寝ないといけないほどの狭さではないはずよ。そんなに嫌なら、申し訳ないけど、葵王様に間に入ってもらえば?」

つん、と澄まして言うナスル姫に、隣の憂杏も微妙な顔を、窓に貼り付く葵に向ける。

「・・・・・・俺は雑魚寝なんざ、慣れっこだから、別に誰が隣でもいいけどな。引っ付かなければ、の話だが」

「まぁな。だが、船の揺れもあるから、万が一転がったときのために、悪いがやっぱり葵王に犠牲になってもらおうか」

夕星のこの一言により、葵は無邪気にはしゃいでいるうちに、背後で非情な決断が下されたのだった。