楽園の炎

「わ、凄い」

船室の中は、コアトルの宮殿と変わらないほどの、豪華な造りになっていた。

「小舟と違って、時化でもない限り、揺れもあまり感じない。なかなか快適だよ」

皇太子が言いながら、皆に椅子を勧めた。
が、朱夏も葵も、窓に貼り付いて離れない。
とにかく外が見たくて、しょうがないのだ。

「やれやれ。何が見えるわけでもなかろうに。もう周りは、海だろう?」

苦笑いを浮かべる皇太子にも、二人はまるで子供のようにはしゃぎまわって気づかない。

「わっ何か飛んだよ! え、あれ、魚?」

「ほんとだ! 見て! 魚に羽があるみたい!」

海面を指差して二人が騒いでいる間に、夕星が皇太子に、少し身を乗り出した。

「時に兄上。船での部屋割りは、どうするんです」

「ああ、そうだな。ナスルの意見次第かな?」

憂杏とお茶を淹れていたナスル姫は、テーブルに置いたカップにお茶を注ぎながら、ちょっと考えた。

「そうですわねぇ。お部屋もそう、あるわけではありませんし。いっそのこと兄上以外は、一つのお部屋でいいのでは?」