楽園の炎

「そうかな。普段は普通だよ。ここ一番のときに、爆発的に力が出るんじゃないかな」

さして興味なさそうに、夕星は軽く答えた。
同じように幼少期から剣術を習っていても、ククルカンはアルファルドと違って、実戦向きだ。
さらに実際に戦場にも出る。

その辺りの違いもあるのだろう。
あとは、天賦の才能か。

「やっぱり、ククルカンの兵は強いんだね」

さっき、他の兵士と手合わせしていても思ったものだ。
アルファルドでは誰より強かった朱夏が、ククルカン兵相手では、隊長クラスの者でなくても、かなり手こずった。

「葵もさ、ククルカンの人たちに、稽古つけてもらったほうがいいよ。あたし、こんなにやりがいのある練習、久しぶりだった」

朱夏の言葉に、皆どっと笑った。

「そう言っていただけると、我々としても嬉しい限りですが、朱夏姫様は夕星様の妃なのですから」

「そうそう。それでなくても姫君は、兵士の訓練など致しませんよ」

皆が笑ったので、にわかに広場が賑やかになる。
その声が聞こえたのか、向こうのほうからアシェンが駆け寄ってきた。

「これは夕星様。訓練に参加しておられたのですか」

さっと夕星の足元に跪く。
朱夏は何気なく、先程アシェンがいたほうに目をやった。

---アルはどうしたのかしら---

元いたところには、いないようだ。

「あの、アシェン様。アルは、どうしました?」

何の気なしに朱夏が聞いた途端、びきっとアシェンの身体が強張った。