楽園の炎

「あなた様も、そうですな。お可愛らしい外見に似合わず、目を見張るほどの剣の腕だ」

何となく照れくさく思い、朱夏は、えへへ、と曖昧に笑った。
そのとき、少し向こうの回廊に、ちらりとアシェンの姿が見えた。

「あれ。あれは、アシェン様では?」

朱夏の言葉に、兵士もそちらを向く。
そして、おおっと身を乗り出した。

「なな、何が起こったのだろう。私の目が、おかしくなったのだろうか?」

慌てる兵士に、朱夏はきょとんとする。

「へ? 別に何とも、なってませんけど。え、どうしたんです?」

「いやいや、そんなはず、あるわけが・・・・・・」

ぶつぶつ言いながら、ごしごしと目を擦る兵士に、何が何だかわからず、朱夏はぽかんとする。
兵士はひとしきり目を擦ってから、もう一度顔を上げて、回廊を見た。

「・・・・・・朱夏姫様」

茫然といった感じで回廊を見つめたまま、兵士が呟いた。

「あの、私の目には、アシェン様の横に、何か女子(おなご)が見える・・・・・・ような気がするのですが・・・・・・」

兵士の言葉に、朱夏はちょっと背伸びして、目を凝らす。

「あ・・・・・・そうですね。あら、あれはあたしの侍女のようです」

「ななな、何とっ!」

朱夏が言うなり、兵士は、ぐい、とさらに身を乗り出す。
じいぃぃ~っと二人の様子を眺め、一つ息をついて振り向いた。