楽園の炎

「憂あーんっ! どこに行ってたのよぅ」

帰るなり、ナスル姫が憂杏に飛びつく。

「あ、悪い。もしかして、正妃様にご迷惑をかけてしまったか?」

「そんなことはないわよ。まだ縫い始めて少しだしね。それよりも、わたくしを置いて、どこに行ってたのよぅ」

夕星は、きょろきょろと辺りを見回した。

「おいナスル。朱夏は?」

夕星が言った途端、ナスル姫は、キッと夕星を睨む。

「お兄様でしょっ! もう、憂杏を連れ出して、変なところに連れ込まないでよね!」

「・・・・・・何なんだ」

憮然と呟き、夕星は部屋を出た。
何となく憂杏とナスル姫のラブラブっぷりにあてられたのか、葵も慌てて後を追う。
回廊を歩きながら、葵はふと思いついたように、外を見た。

「そうだ。兵士たちは、何やってるんです? 向こうのほうから、稽古のような音がしますが」

「ああ、あれは多分、ここに詰めてる兵士らが、稽古でもしてるんだろうさ」

庭に降りてみると、向こうのほうの広場に、兵士たちがいるのが見える。
葵は夕星を振り返った。

「きっと、朱夏はあそこにいますよ」

そう言って、広場のほうへ歩き出す。