楽園の炎

「ま、お転婆な女の子、と思っていただければ」

「可愛く言えば、そうだな」

葵と憂杏が、笑いながら竜の肩を軽く叩いた。
そこでやっと竜も、はぁ、と呟き、だが納得しかねるような顔つきで、夕星を眺める。

その夕星が、ふと天幕の奥に置いてある、小箱を見つけた。

「竜、あれは?」

「ああ、東のほうの宝石で、翡翠というものでして・・・・・・」

竜が天幕に入り、小箱を取り上げる。
夕星の前で蓋を取ると、中には緑色の、綺麗なアクセサリーがいくつか入っていた。

「ほぅ。これはなかなか、綺麗なものだな」

手に取ると、ひやりと冷たい。

「これにしよう。この腕輪がいい」

夕星が手に取ったのは、特に何の装飾もしていない、つるりとした輪っかだった。

「味気ないなぁ。せめて、こっちのみたいに小さい珠を繋げたやつにしたらどうだ?」

「いや、これがいい。こっちのほうが、きっと朱夏には似合う」

憂杏の提案を退け、夕星は竜に代価を払った。

「・・・・・・華奢、という姫君では、ないようですな」

翡翠の腕輪を包もうとしていた竜から、夕星は、ひょいと腕輪を取った。
そのまま、自分の腕につける。

「このままでいい。じゃあな。苺鈴、早く宮殿に来ないと、葵王に会えなくなるぜ」

腕輪の嵌った手を振り、夕星はそう言い置いて、憂杏と一緒に、赤くなって何か言おうとした苺鈴をそのままに、ぽかんとした葵を促して立ち去った。