「わかってないねぇ。市と王宮とは、売れ行きが違うのさ。憂杏だって、貴族の家に招かれたほうが、楽に仕事ができるってことぐらい、ちょっと考えればわかるだろ?」
「え、何故です?」
葵はやはり、深窓の王子だ。
憂杏や朱夏について市に行ったことはあっても、その回数は数える程だ。
故に、本当の意味での商人の生活などは、わからない。
「市で店を開いても、客が来てくれなきゃ売れないだろ。その点、貴族の屋敷や王宮に出入りを許されれば、そこで働く侍女ら相手に物を売れる。ま、売り込みをかけられる、ということだな。さらに、侍女らは侍女らで、なかなか市などに行く機会もないだろうから、ここぞとばかりに買ってくれる。こっちも他に商売敵がいるわけじゃない。かなりの利益が見込めるというわけさ」
「なるほど・・・・・・。ではアルファルドにいらした折りには、どうぞ王宮にいらしてくださいよ。このように珍しいものなら、侍女らも喜ぶでしょう」
あっさりと言う葵に、何故か苺鈴は、少し落胆したような顔になった。
その様子を見、夕星がまた、にやにやと笑う。
さらにその夕星の袖を引いて、憂杏が窘める。
「さて、じゃあそろそろ戻るか。竜、お前は今回は、宮殿には行ってないのか?」
立ち上がり、空になった焼き魚の包みを、傍の屑籠に放り込む。
こういうことを自然にする辺りが俗っぽい。
そう思いながら、竜は夕星に笑いかけた。
「コアトルに入りましたのも、昨日でございますれば・・・・・・。そろそろ出かけようとは、思っておりましたが」
「俺たちも、何日か滞在している。兄上もおられるから、珍しいものがあったら、持ってくるといい。娘の土産とか、いいんじゃないか? ・・・・・・そうだ」
何か思いついたように、夕星は、ひょいと天幕を覗き込んだ。
「え、何故です?」
葵はやはり、深窓の王子だ。
憂杏や朱夏について市に行ったことはあっても、その回数は数える程だ。
故に、本当の意味での商人の生活などは、わからない。
「市で店を開いても、客が来てくれなきゃ売れないだろ。その点、貴族の屋敷や王宮に出入りを許されれば、そこで働く侍女ら相手に物を売れる。ま、売り込みをかけられる、ということだな。さらに、侍女らは侍女らで、なかなか市などに行く機会もないだろうから、ここぞとばかりに買ってくれる。こっちも他に商売敵がいるわけじゃない。かなりの利益が見込めるというわけさ」
「なるほど・・・・・・。ではアルファルドにいらした折りには、どうぞ王宮にいらしてくださいよ。このように珍しいものなら、侍女らも喜ぶでしょう」
あっさりと言う葵に、何故か苺鈴は、少し落胆したような顔になった。
その様子を見、夕星がまた、にやにやと笑う。
さらにその夕星の袖を引いて、憂杏が窘める。
「さて、じゃあそろそろ戻るか。竜、お前は今回は、宮殿には行ってないのか?」
立ち上がり、空になった焼き魚の包みを、傍の屑籠に放り込む。
こういうことを自然にする辺りが俗っぽい。
そう思いながら、竜は夕星に笑いかけた。
「コアトルに入りましたのも、昨日でございますれば・・・・・・。そろそろ出かけようとは、思っておりましたが」
「俺たちも、何日か滞在している。兄上もおられるから、珍しいものがあったら、持ってくるといい。娘の土産とか、いいんじゃないか? ・・・・・・そうだ」
何か思いついたように、夕星は、ひょいと天幕を覗き込んだ。


