楽園の炎

「・・・・・・苺鈴、どうした? 珍しい反応だな。葵王に惚れたのか?」

「そ、そんなこと。何て恐れ多いことを仰るんです」

ずけずけと言う夕星に、苺鈴が慌てたように声を上げる。
そこでやっと、葵もわかったようで、少し頬に赤味が差した。

「別にそうなっても、おかしいことはないだろ。ナスルだって、商人の憂杏との結婚を望んでいるぐらいだし。葵王は乙女の理想を具現化したような人だって、ナスルも言ってたぜ」

「俺の場合は、また違うだろ。葵はアルファルドの王太子だぜ」

憂杏がぼそりと言う。

「そうか。さすがに正妃には、難しいか。側室辺りならいいんじゃないか? て、アルファルドの婚姻制度はよく知らんが」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。そんなんじゃないですって。綺麗な人だとは思いますけど、そんな、いきなりどうこうなんて・・・・・・」

狼狽える葵に、軽くそうだな、と呟いて、焼き魚の串を勧める。

「ま、苺鈴も、アルファルドの王宮で行商したいのなら、葵王の寝所に侍るがいい。何と言っても、世継ぎの王子だからな」

笑って言う夕星を、後ろから憂杏が、ごつんと叩いた。

「あまり意地の悪いことを言うな。大体、アルファルドにはでかい市があるんだし、わざわざ王宮まで行かなくてもいいだろう」