楽園の炎

だが今は、苺鈴は葵に色目を使ったわけではない。
長年の癖で、知らず出てしまうものはあるが、今は葵に取り入る必要もないのだ。

当然葵も、苺鈴をそういう目的で見ているわけではない。
なのに、褒めてくれたということが、苺鈴にとっては新鮮であり、衝撃だった。

「ああ、あの。すみません。恥ずかしいことを言ってしまって」

ぽりぽりと頭を掻きながら、葵が謝る。
その態度が、ますます苺鈴の心を揺さぶる。

激しく動揺しているものの、この動揺の理由が自分でもわからないため、苺鈴はただ、ぶんぶんと頭を振った。

---困ったな・・・・・・---

葵は落ち着きなく、視線を彷徨わせた。
仕草や格好からして、そういう色事には、慣れている風に見える苺鈴が、まさかこのように初心(うぶ)い反応を示すとは。
いたたまれなくなり、葵は心の中で、大声で夕星を呼んだ。

「葵王様は、独身でいらっしゃるの?」

妙な汗が浮いてきた頃に、不意に苺鈴が問いかけた。

「あ、ええ。何分まだまだ、子供なもので・・・・・・」

「アルファルドには、行ったことはないのですけど。綺麗な国だと聞きますわ」

少し落ち着いてきたのか、苺鈴は話題を振った。
もっともまだ、顔は前を向いたままだが。