楽園の炎

なるほど、だから夕星・葵・憂杏がいても、夕星にくっついたのか。

「そりゃあ、大したもんだ。けど、権力者に身を売るのが仕事だろ? お前にも、売ったんじゃないのか?」

「ただ身を売るだけじゃないぜ。竜の隊の商品を、その権力者の屋敷内で売るためだからな。隊のためだな。ま、そう育てたのは竜だが。俺は別に、どこの宮殿を持っているわけでもないだろ。ククルカンの宮殿には、苺鈴のような奴にはうってつけの、そういう女に飛びつく奴がいるし。わざわざ落としにくい俺に近づくより、アリンダにちょっと気を持たせたほうが、よっぽど楽だ」

「そうか・・・・・・。お前は自分の宮殿を、持ってるわけじゃないもんな。ククルカンの宮殿内での行商を許してもらうには、何もお前じゃなくてもいいわけだ」

そういうこと、と、夕星は再び肩を竦めてみせる。

「俺はほら、結構ふらふらしてるから、竜のようなキャラバンの主の存在は、有り難いんだよね。竜が宮殿で行商してたときに知り合った」

「ほおぉ。元々宮殿で会ったわけか。だから身分を知ってるわけだな」

「宮殿で会って、しばらく経ってから、どっかの商船の中で再会したんだ。俺は例によって商人に化けてたから、さすがの竜もびっくりしてたぜ。それからも何回か外で会った。そのうちに、自分の隊に入れて、いろんなところに連れて行ってくれたりもしたぜ」

大国ククルカンの宰相を、キャラバンに紛れさせて一緒に旅するとは。
なかなか肝っ玉の据わったじいさんだ。

少々呆れて、憂杏は型破りな宰相を見つめた。