楽園の炎

「おいユウ。何となく面白そうだから乗っちまったが、いいのかよ? あの辺の奴らは信用できる奴なんだろうな? 葵はあれでも、れっきとしたアルファルドの王太子だぜ」

随分離れてから、憂杏が口を開いた。
夕星は足を止めることなく、前を向いたまま笑った。

「今更何だ。何、大丈夫だよ。竜はあの一帯の主だし、市にも詳しい。竜についてりゃ、ほんとにいろんな話が聞けるんだぜ」

「・・・・・・あの苺鈴って女は?」

ここでやっと、夕星は足を止めて、振り返った。
にやりと笑う。

「あいつは竜の、拾い子さ。いろんな土地の権力者に気に入られて、閨に侍るのが仕事だ」

憂杏がずっこける。

「そ、そんな奴、葵に近づけたら駄目だろうが!」

「おや、意外な反応だな。憂杏が、そんなにお堅い奴だったとはね」

夕星が、肩を竦める。
憂杏は、初めに夕星にしなだれかかった苺鈴を思い出した。

夕星も、相当な権力者だ。
苺鈴と、そのような関係にあるのだろうか。

「・・・・・・朱夏が知ったら、お前、ボコボコにされるぜ」

眉間に皺を刻んで言う憂杏に、夕星は軽く手を振った。

「おいおい。俺とあいつは、別にそういう関係じゃないぜ。初めにやたらくっついてきたのは、あいつの癖みたいなもんだよ。男には、媚びを売らねばならんということが、身についてしまってるんだろ。男が複数いても、瞬時に力関係を見抜く能力もあるし」