楽園の炎

狼狽えつつも、素直に感想を述べる葵に、その場の人間は皆少し驚いたような顔をした。
まさかこれほど率直に褒められるとは思っていなかったのか、苺鈴までもが目を見開いた後、恥ずかしそうに頬を染めた。

「葵王は、東の人間を見るのは初めてか? 苺鈴がこんな態度を取るなんてな」

夕星が、感心したように言った。
え? と葵は首を傾げたが、ふと見ると目の前の苺鈴は、先程までの‘しな’はどこへやら、顔を袖で覆ってしまっている。

「あ、あれ? 何か変なこと、言いましたか? 気を悪くされたのでしたら、謝ります」

慌てて葵は、自らも膝を付いて、苺鈴の正面からぺこりと頭を下げる。

「と、とんでもない。どうかお顔を、お上げになって」

今度は苺鈴が慌てている。
二人のやり取りを見ていた夕星が、顎をさすりながら、にやにやと口を開いた。

「ふぅ~ん? どうやら苺鈴は、純朴な少年に弱いようだなぁ。ちょうど良い。葵王に東のほうのことでも、いろいろ教えてやってくれ」

「え、ちょ、夕星様?」

「夕星殿?」

驚く二人を、なおも面白そうに見、夕星は憂杏を促した。

「竜、後は頼んだぞ。適当に迎えに来るさ」

憂杏も、ちょっと考えたが、そうだな、と呟いて頷いた。

「東は結構特殊だからな。知っておくに、こしたことはないぞ」

ぽかんとしている葵に、もっともらしく言い聞かせる。
そして、二人はその場を離れていった。