楽園の炎

「夕星様! お久しゅう」

夕星に抱きつく勢いで、娘は声を上げた。
二十歳ぐらいの、すらりとした美人だ。

見たこともないような、身体にぴたりと沿った衣装は、腰の少し下辺りまで切り込みが入っていて、そこから長く細い足が覗いている。
衣装がやけに身体のラインに沿っているため、葵はどぎまぎして視線を逸らせた。

「何だ、苺鈴(メイリン)。まだ家にいるのか?」

さして興味もないように、それでも一応愛想良く、夕星は呆気に取られる憂杏と、不自然に視線を外している葵に、彼女を紹介する。

「苺鈴だ。こっちは竜(ロン)。竜は東のほうを回るキャラバンの隊長だ」

「憂杏だ。これは葵。祖国はアルファルドだ。よろしくな」

憂杏が、当たり障りなく自己紹介しつつ、葵も紹介する。
夕星は竜と顔見知りのようだが、身分まで知っているのだろうか。
葵は己の身分を明かしていいものか、曖昧に笑って軽く頭を下げた。

「あら・・・・・・こちらは、夕星様のお友達?」

苺鈴が、夕星に引っ付いたまま、ちらりと葵を見た。

考えてみれば、葵はこれぐらいの年齢の女性というものを、あまり知らない。
加えて苺鈴は、魅惑的な女性である。
アルファルドには珍しい、切れ長の目でじっと見られ、葵はますます落ち着きをなくした。

「おや・・・・・・これは珍しいお召し物ですな。なるほど、アルファルド・・・・・・。葵様は、それなりのご身分のかたですな」

困っている葵に、竜が声をかけた。
葵はちらりと夕星を見る。
葵の視線を受け、夕星は、にやりと笑って、ぽんと葵の肩を叩いた。