楽園の炎

憂杏が、笑いながら差し出されたタコの刺身を取って、口に入れた。

「うん、美味い。でもさすがに、初めての奴に躍り食いはきついだろ」

何せ、差し出された時点でも、まだうぞうぞ動いていたのだ。
切られても生きているものを、いきなり食えと言われても、相当勇気がないと口には入れられない。
まして葵は、深窓の王子だ。

「吸盤がくっつくからなぁ。お、干物がある。おや、向こうには野菜のピクルスがあるな。東のほうからのキャラバンが来ているのか」

ぶつぶつ言いながら、夕星が奥に入っていく。
少し他と違ったその一角は、海産物ではなく、装飾品やとりどりの小瓶が置かれた店が集まっている。

そのうちの一軒に夕星が近づくと、中から老人が出てきて頭を下げた。

「おお、これは夕星様」

「やはり、お前の隊か。良いものが手に入ったのか?」

気安く老人に声をかける。
どうやら知り合いのようだ。

老人と夕星の声を聞き、中からさらに、娘が飛び出してきた。