楽園の炎

一方、市に出た男三人は、入り口の厩(うまや)にそれぞれ馬を預け、市に入った。

「うわぁ。でっかい魚が、そのまま売ってる! ひえっ! あれ、あれは何です? うわ、動いてるってことは、生き物なんですか? 触手があるじゃないですか」

船に乗ったことはあっても、海に親しんでいるわけではない。
海産物など、ほとんど見たこともない葵は、店先に並んでいるものを見るたびに、歓声を上げる。

「ありゃ、タコってやつだよ。見た目はグロいが、美味いんだぜ」

「た、食べるんですか?」

夕星の説明に、葵は思いきり顔をしかめる。
そんな葵に、店の主人が面白そうに声をかける。

「兄さん、いいところの坊ちゃんかい。生きたタコを見るのは、初めてですかい? こいつは新鮮だから、このまま食えますぜ」

言いながら、主人はナイフをうぞうぞ動く足に突き立てた。

「ほら、味見だ」

その辺の薬味をかけ、ひょいと差し出す。
葵の顔が引き攣った。
助けを求めるように、夕星と憂杏を見る。