楽園の炎

素直に答える憂杏に、正妃は一つ頷いた。
次いで、ナスル姫に微笑みかける。

「そうですわね。そういうかたのほうが、ナスル様にはよろしいのでしょう。でも、苦労も多くなりますわよ。辛くなったら、いつでもいらっしゃい」

言葉の端々から、おそらく正妃も知事も、第二皇子のことは知っているようだ。
ナスル姫は嬉しそうに、ぺこりと頭を下げた。

「ありがとう、叔母様。でも大丈夫よ。これからは叔母様も、何か欲しいものがあったら、わたくしに仰ってくださったら、手に入れて来ますわよ」

ね、と隣の憂杏を見る。

「そうだわ! ねぇ叔母様。憂杏の服、作ってくださらない?」

いきなりナスル姫が、がばっと正妃のほうに身を乗り出した。
きょとんとする正妃に、ナスル姫は憂杏を指差して、さらに言う。

「あのね、憂杏、これ以上良い服、持ってないの。兄上やお兄様とは、体格が全然違うでしょ。だから借りられないし・・・・・・。この後父上にもご挨拶に行くのだけど、さすがにこのままじゃ・・・・・・」

そう言われて、正妃はじっと憂杏を見た後、ああ、と納得したように頷いた。

「そうね。あんまり豪華なものは作れないけど、もうちょっと良く見えるものを、作ったほうがいいかしらね」

ナスル様にも、何か作ってあげましょうか、と言う正妃に、嬉しそうにナスル姫は飛びついた。
何だか凄く、仲が良いなぁ、と朱夏が思っていると、正妃がひょいと朱夏を見た。

「朱夏姫様にも、何かお作りしましょうか」

「えっ」

いきなり言われて、朱夏は驚いた。
何と言っていいものかわからず、おたおたしている朱夏に、正妃は重ねて言った。

「今のお衣装は、ナスル様のものでは?」