結局日が中天に差し掛かって少し経った頃に、一行は目的のオアシスに着いた。
そのころには、すっかり気温も上がり、まさに灼熱地獄の暑さである。

兵士らは手早く天幕を張ると、おのおの桶や布を片手に、水場のほうへ去っていく。
朱夏がきょとんとしていると、向こうのほうからアルが走ってきた。

「朱夏様、水浴びしません? 結構砂被ってますし、汗も流してしまいましょうよ」

「水浴び? ああ、皆、水浴びに行ったのね」

納得し、己の身体に視線を落とすと、アルの言うとおり、気づかぬうちに、かなり身体中、じゃりじゃりになっているのに気づいた。

「そうね。暑いし、汗流したいわ」

朱夏も荷物の中から着替えを出し、アルと一緒に奥の水場に向かった。

水場は何となく、男性・女性と別れている。
侍女のために、兵士が簡単な仕切りを作ってくれたようだ。

「結構ちゃんとしてくれるのね」

とはいえ、さすがに全裸になるのは躊躇われる。
皆とりあえず、薄い下着だけになり、そのまま軽く水に浸かっている。
朱夏も同じように、下着になって水に入った。

「ねぇアル。そういえば、アシェン様に乗せてもらったんでしょ? どうだった?」

一緒に水に浸かりながら、ふと思いついて問うてみる。
途端にアルは、脱力したように、くたっと岸にもたれかかった。

「・・・・・・わたくしは、乗ってしまえばアシェン様は見えませんからねぇ。まだ良いんですけど。でもきっと、アシェン様は、ぐったりでしょうね」