楽園の炎

朱夏が天幕に入ると、夕星は入り口の布を固定する。
中に入って、改めて見てみるが、やはり寝台は一つしかない。
しかも小さい。

「砂漠の入り口だからな。やっぱり夜は、ちょっと冷えるね」

言いながら、夕星が毛布を広げる。
寝台の傍の、小さな灯りに火を移し、天幕内の大きな灯りを消そうとして、そこで初めて、入り口に突っ立っている朱夏に目をやった。

「・・・・・・警戒してる?」

にやりと笑う。

「そんなあからさまに警戒せんでも、こんなところでどうこうしようなんて、思ってないさ」

軽くそう言って、夕星は天幕の灯りを消した。
そして、朱夏の手を取ると、そのまま寝台に腰掛けた。

「ということで、ほら。朱夏はそっち側。外套取っておいで」

手を離し、ごろりと横になる。
朱夏はそろそろと寝台から離れると、外套を取った。

しかし、再び寝台に戻る勇気がない。
どうしても、意識してしまう。

---こ、こんなに意識してしまうのは、やっぱり相手がユウだから? 兵舎とかで、平気で昼寝とかしてたのに---

もっとも、兵舎での昼寝というのは、確かに他の兵士とかもいたが、だだっ広い広間での雑魚寝だ。
きちんとした寝台で、他の男と寝たことなどない。

---でもでもっ! ユウだって、こ、こんなところで妙なことする気はないって、言ってたじゃないっ!---

自分に言い聞かせ、やけくそ気味に振り向いて、その勢いのまま、ずんずんと寝台に近づく。
立ち止まってしまえば、きっと躊躇してしまうからだ。