にっと笑い、夕星は、さっさと入り口の布を跳ね上げて、中に入った。
そして、思い出したように、すぐに顔を出す。
「あ、入り口はさすがに、もうちょっと丈夫にしたほうがいいな。おーい、憂杏」
これまた近くに天幕を張っている憂杏のほうに行き、何事か相談している。
憂杏の天幕も、今まで市で使っていたものだ。
憂杏の場合は、ずっとこの天幕が彼の家なのだが。
やがて夕星が、分厚い葦(あし)で編んだ、簾(すだれ)のようなものを抱えて戻ってきた。
「よっこいしょっと。これを扉にしよう」
そう言いながら、入り口の前の布の前に立てかける。
見ると、憂杏も同じようにしていた。
「何だ夕星。そんな貧相な天幕で寝るのか?」
隣の大きな天幕から、皇太子が出てきて呆れたように言う。
皇太子の天幕は、さすがに幾重にも布が張り巡らされ、中もちょっとした小宮のようになっているようだ。
「お前もこちらで寝れば良いではないか。お前と朱夏姫ぐらい、十分入れるぞ」
「いや、俺はこっちで十分です。狭いほうが、居心地が良くてね。朱夏とも、寄り添っていられるじゃないですか」
皇太子の申し出を笑って辞退し、夕星は朱夏の肩を抱いた。
「やれやれ。お前もナスルと変わらんな。朱夏姫、こいつのお守りは、大変だろう?」
あはは、と曖昧に笑い、朱夏は肩に置かれた夕星の手の甲を抓った。
そして、思い出したように、すぐに顔を出す。
「あ、入り口はさすがに、もうちょっと丈夫にしたほうがいいな。おーい、憂杏」
これまた近くに天幕を張っている憂杏のほうに行き、何事か相談している。
憂杏の天幕も、今まで市で使っていたものだ。
憂杏の場合は、ずっとこの天幕が彼の家なのだが。
やがて夕星が、分厚い葦(あし)で編んだ、簾(すだれ)のようなものを抱えて戻ってきた。
「よっこいしょっと。これを扉にしよう」
そう言いながら、入り口の前の布の前に立てかける。
見ると、憂杏も同じようにしていた。
「何だ夕星。そんな貧相な天幕で寝るのか?」
隣の大きな天幕から、皇太子が出てきて呆れたように言う。
皇太子の天幕は、さすがに幾重にも布が張り巡らされ、中もちょっとした小宮のようになっているようだ。
「お前もこちらで寝れば良いではないか。お前と朱夏姫ぐらい、十分入れるぞ」
「いや、俺はこっちで十分です。狭いほうが、居心地が良くてね。朱夏とも、寄り添っていられるじゃないですか」
皇太子の申し出を笑って辞退し、夕星は朱夏の肩を抱いた。
「やれやれ。お前もナスルと変わらんな。朱夏姫、こいつのお守りは、大変だろう?」
あはは、と曖昧に笑い、朱夏は肩に置かれた夕星の手の甲を抓った。


