楽園の炎

「そうなのよね。さすがにあのときは、こっぴどく叱られたわ。馬に乗れるようになって、嬉しかったから、つい遠出しちゃってね。あそこに寝転んで、葵と二人で星を眺めてたら、そのまま二人とも寝ちゃってね。起きたら、鬼の形相の父上が」

「そうだろうな。それでよく、王子から遠ざけられなかったな」

「葵がね、頑としてあたしを放さなかったの」

「ほぉ」

からかうように、ユウの片眉が上がる。
朱夏は当時を思い出すように、しみじみと言った。

「ほんと、葵には感謝してる。他にもいろいろ・・・・・・。内宮の廊下で椰子の実投げをして、辺り一面椰子の実ジュースだらけにしたときも、神殿の聖なる泉で、汚れた服を洗ったときも、葵が庇ってくれたからね」

「・・・・・・なかなか凄まじいな」

呆れたように言い、ユウは馬首を返すと、思い切り馬の腹を蹴って、風のように走り出した。

「ひゃあっ!」

朱夏は危うく転がり落ちそうになり、思わずユウに抱きついた。
血圧が一気に上がったが、初めよりも速く疾走する馬に離れることもできず、朱夏は血管が破れるんじゃないかと心配しながらも、ユウにくっついたまま、市に戻った。