楽園の炎

「朱夏は、王宮に住んでいるのか?」

頭上からの声に顔を上げれば、前を向いたままのユウが目に入る。
風に前髪が煽られ、端正な顔が露わになっている。

初めて会ったときにも、それなりに整った顔だとは思ったが、あまりまじまじと見なかったせいか、特に何も思わなかった。
が、身体つきも引き締まっているし、なかなか魅力的な男だったようだ。

じっと見ていると、ん? とユウが視線を落とす。
朱夏は慌てて視線を下げた。

「あ、うん。一応あたし、葵のお付き武官だから」

ユウの顔をまじまじと見、変に意識して視線を落とせば、風に煽られてはだけた胸元から、浅黒い素肌が見える。
剣の稽古などで、普段男にまみれているし、兵士など、普通に上半身裸で鍛錬している。

昔は葵とだって水浴びをした仲で、今更男の胸元がちらりと見えたぐらい、何てことはない。
なのに、何故か朱夏は目のやり場に困って、視線を彷徨わせた。

「葵・・・・・・」

考えるユウに、朱夏は気を紛らわせるべく、説明した。

「あ、葵王のことよ。この国の、王子ね」

「え、朱夏が、王子のお付き・・・・・・武官?」

驚いたように、ユウが手綱を引き、馬を止めて朱夏を覗き込んだ。
覗き込まれた朱夏の心臓は、また跳ね上がる。