その頃、ナスル姫は炎駒に連れられて、宝瓶宮にいた。
「桂枝、今の説明のとおり、ナスル姫様は今後、憂杏の婚約者として、彼と行動を共にすることになった。ひいては桂枝の娘ということになる。あまり遠慮せず、力になって差し上げなさい」
炎駒の横にちょこんと座り、正式に桂枝と引き合わされたナスル姫は、じっと彼女を見た。
憂杏と桂枝が、今は向かい側に並んで座っている。
「よろしくお願いしますわ。・・・・・・お、お義母(かあ)様・・・・・・?」
最初の挨拶とは打って変わり、『お義母様』の部分で、言いにくそうにもごもごとなる。
それでも何とか言ってしまってから、ナスル姫は照れたように、ぽりぽりと頭を掻いた。
「な、何だか・・・・・・くすぐったいですわ。わたくし、‘おかあさま’って呼べるかたが、今までいなかったから・・・・・・」
えへへ、と笑う小さな姫に、炎駒は優しい目を向ける。
「そういえば・・・・・・姫君は、お小さい頃に、母上を亡くしておられるんでしたね」
「ええ。わたくしと引き換えみたいなものですから、記憶もありません。乳母と、お兄様に育てられたようなものですわ」
「まぁ・・・・・・」
桂枝が、心持ち身を乗り出す。
こういう話には弱い。
すでに目が潤んでいる。
「ああっあの、でも父上や正妃様も、よく面倒みてくれましたし、姉上も遊んでくださったので、それほど寂しくはなかったんですよ。ただ、改めて‘おかあさま’と口にすると、何だか・・・・・・特別なんだなって」
「桂枝、今の説明のとおり、ナスル姫様は今後、憂杏の婚約者として、彼と行動を共にすることになった。ひいては桂枝の娘ということになる。あまり遠慮せず、力になって差し上げなさい」
炎駒の横にちょこんと座り、正式に桂枝と引き合わされたナスル姫は、じっと彼女を見た。
憂杏と桂枝が、今は向かい側に並んで座っている。
「よろしくお願いしますわ。・・・・・・お、お義母(かあ)様・・・・・・?」
最初の挨拶とは打って変わり、『お義母様』の部分で、言いにくそうにもごもごとなる。
それでも何とか言ってしまってから、ナスル姫は照れたように、ぽりぽりと頭を掻いた。
「な、何だか・・・・・・くすぐったいですわ。わたくし、‘おかあさま’って呼べるかたが、今までいなかったから・・・・・・」
えへへ、と笑う小さな姫に、炎駒は優しい目を向ける。
「そういえば・・・・・・姫君は、お小さい頃に、母上を亡くしておられるんでしたね」
「ええ。わたくしと引き換えみたいなものですから、記憶もありません。乳母と、お兄様に育てられたようなものですわ」
「まぁ・・・・・・」
桂枝が、心持ち身を乗り出す。
こういう話には弱い。
すでに目が潤んでいる。
「ああっあの、でも父上や正妃様も、よく面倒みてくれましたし、姉上も遊んでくださったので、それほど寂しくはなかったんですよ。ただ、改めて‘おかあさま’と口にすると、何だか・・・・・・特別なんだなって」


