「だが、結婚はしばらく待て。憂杏殿はともかく、お前が根を上げるかもしれん」
「どういうことです?」
納得できかねる、というように、ナスル姫が身を乗り出す。
さらにそれを制し、皇太子は憂杏に視線を移した。
「ナスルはずっと、王宮暮らしのお姫様だ。当たり前だが、市井の暮らしなど、したことはない。そんな者がいきなり野に下っても、満足に生活できぬかもしれん。初めは頑張るだろうが、それが持続する保証はないのだ」
「ごもっともです」
冷静な憂杏の答えに、ナスル姫は泣きそうな顔で彼を見た。
「憂杏は、わたくしに市井の生活は、無理だと思っているの?」
「いや、そうは思わんよ。ただ、できるからといって、続くとは限らん」
「同じことじゃない!」
「落ち着けって。お姫さんが、家事とかを嫌がらないってのは、わかってるよ。でも、今は物珍しくて楽しいだけかもしれんだろ。俺のところに来るってことは、片手間に家事をするってことじゃないんだ。ずっと続くんだぜ? 飽きるときが来るかもしれん。それが当たり前の状況になかったわけだからな」
「憂杏こそ、わたくしの気持ちがどれほど強いか、全然わかってないわ!! お兄様と違って、わたくしは全ての身分を捨てても良いと思っているのに! それが今後の生活に、どれほど影響するのかも理解した上で、それでもあなたを選んだのよ! 飽きたからって、簡単に戻ろうなんて、思ってないわ。そんな甘い兄上でもないし」
「どういうことです?」
納得できかねる、というように、ナスル姫が身を乗り出す。
さらにそれを制し、皇太子は憂杏に視線を移した。
「ナスルはずっと、王宮暮らしのお姫様だ。当たり前だが、市井の暮らしなど、したことはない。そんな者がいきなり野に下っても、満足に生活できぬかもしれん。初めは頑張るだろうが、それが持続する保証はないのだ」
「ごもっともです」
冷静な憂杏の答えに、ナスル姫は泣きそうな顔で彼を見た。
「憂杏は、わたくしに市井の生活は、無理だと思っているの?」
「いや、そうは思わんよ。ただ、できるからといって、続くとは限らん」
「同じことじゃない!」
「落ち着けって。お姫さんが、家事とかを嫌がらないってのは、わかってるよ。でも、今は物珍しくて楽しいだけかもしれんだろ。俺のところに来るってことは、片手間に家事をするってことじゃないんだ。ずっと続くんだぜ? 飽きるときが来るかもしれん。それが当たり前の状況になかったわけだからな」
「憂杏こそ、わたくしの気持ちがどれほど強いか、全然わかってないわ!! お兄様と違って、わたくしは全ての身分を捨てても良いと思っているのに! それが今後の生活に、どれほど影響するのかも理解した上で、それでもあなたを選んだのよ! 飽きたからって、簡単に戻ろうなんて、思ってないわ。そんな甘い兄上でもないし」


