「全く、お前たち兄妹は、愛する人を困らせすぎだ。憂杏殿は、夕星とは対照的なのかね。似ているようにも思ったが」
「お兄様が、変なんですよ。憂杏は普通です。普通の殿方は、人前では寡黙なものでしょう?」
そうでもないけど、と思いつつ、朱夏はちらりとナスル姫を見た。
まめまめしく憂杏の皿を取り替えながら、ナスル姫は思い出したように、ぱっと皇太子を振り向いた。
「あ! でも憂杏は、正式にわたくしに、求婚してくれましたよ! 一生守ってくれるって、言ってくださったの!」
嬉しそうに報告するナスル姫の言葉に、げほん、と憂杏がむせる。
喉を詰まらせたり、むせたり、忙しいなぁと思いながら、くふふ、と朱夏は含み笑いをする。
ひとしきりむせた後、憂杏は果実酒で喉を潤してから、姿勢を正して皇太子を真っ直ぐに見つめた。
「皇太子殿下。わたくしは先にもお話しましたが、一介の商人でしかありません。若くもありませんし、財もありません。が、このような私でも、大事な姫君一人ぐらいは、守り通してみせます」
一気に言った憂杏を、皇太子はじっと見た。
「兄上。わたくし、降嫁することに、躊躇いはありませんわ」
ナスル姫も、真剣な表情で言う。
張り詰めた空気の中、朱夏は知らず、夕星の袖を掴んでいた。
「わかった」
しばしの沈黙の後、皇太子が静かに口を開いた。
ぱっと笑顔になったナスル姫のほうへ顔を向け、軽く手を挙げて姫を制する。
「お兄様が、変なんですよ。憂杏は普通です。普通の殿方は、人前では寡黙なものでしょう?」
そうでもないけど、と思いつつ、朱夏はちらりとナスル姫を見た。
まめまめしく憂杏の皿を取り替えながら、ナスル姫は思い出したように、ぱっと皇太子を振り向いた。
「あ! でも憂杏は、正式にわたくしに、求婚してくれましたよ! 一生守ってくれるって、言ってくださったの!」
嬉しそうに報告するナスル姫の言葉に、げほん、と憂杏がむせる。
喉を詰まらせたり、むせたり、忙しいなぁと思いながら、くふふ、と朱夏は含み笑いをする。
ひとしきりむせた後、憂杏は果実酒で喉を潤してから、姿勢を正して皇太子を真っ直ぐに見つめた。
「皇太子殿下。わたくしは先にもお話しましたが、一介の商人でしかありません。若くもありませんし、財もありません。が、このような私でも、大事な姫君一人ぐらいは、守り通してみせます」
一気に言った憂杏を、皇太子はじっと見た。
「兄上。わたくし、降嫁することに、躊躇いはありませんわ」
ナスル姫も、真剣な表情で言う。
張り詰めた空気の中、朱夏は知らず、夕星の袖を掴んでいた。
「わかった」
しばしの沈黙の後、皇太子が静かに口を開いた。
ぱっと笑顔になったナスル姫のほうへ顔を向け、軽く手を挙げて姫を制する。


