楽園の炎

これ以上夕星に喋らせたら、どんな恥ずかしいことを言われることやら。
二人のときならともかく、このような場では、ただただ恥ずかしいだけだ。
朱夏は必死で、夕星の口を防いだ。

「こらこら夕星。愛する人を、困らせるものではない。しかしお前たちは、本当に仲が良いな」

目を細め、皇太子が夕星と朱夏を見つめる。
次いで、その視線はナスル姫のほうへ。

「お前も憂杏殿とは、あんな感じなのかね?」

甲斐甲斐しく憂杏の杯に果実酒を注いでいたナスル姫は、ちょっと首を傾げた。

「どうでしょう。憂杏はお兄様と違って大人ですから、そんなぽんぽん甘い言葉を囁いてはくれませんわ」

ぐ、と憂杏が、喉を詰まらす。
朱夏も思わず、ぶは、と吹き出した。

「ナ、ナスル姫様、それは期待しないほうがいいですよ。それ以前に、憂杏にそのようなセリフ、似合うと思いますか?」

大笑いしたいところだが、さすがに皇太子の前では遠慮してしまう。
だが言うことは言い、朱夏は必死で笑いを噛み殺した。

ナスル姫も、そういうセリフは憂杏には似合わない、ということには同意見のようだ。
それもそうだけど、と呟く。

「でも、女の子としては、そういう言葉は欲しいものよ」

ちらりと憂杏を見、ちょっと拗ねたように言う。
憂杏は困ったように、視線を彷徨わせた。