楽園の炎

到底納得できないようなことを、ナスル姫はきっぱりと言い切る。
言ってしまえば当たり前なのだが、全面的にナスル姫は憂杏の評価が高く、当の憂杏は落ち着きなくそわそわしている。

「で、お前はその叔父さんの後を継ごうというわけか」

話を逸らすように、憂杏が口を挟んだ。
夕星は、ああ、と呟き、空を仰いだ。

「叔父上は、父上の弟君だが、お身体が丈夫でなかった。だから、静養も兼ねてコアトルの町に滞在していたんだが、気に入ったんだろうな。そのままコアトルの知事に納まった。お子がおられないから、養子をもらう話も出たんだがね。叔父上は、ナスルを可愛がっていたから、ナスルに打診したんだが」

「父上が許さなかったのですわ。まぁ、当時はわたくしも小さかったですし、お兄様と離されて、一人で遠くにやられるのは嫌でしたけどね」

「で、俺は昔からふらふら出歩くことも多かったし、コアトルの町にも行ってたから、叔父上のところにも、よく寄ってたんだ。俺にもちらりと、そういう話はしてたよ。俺に言うときは、さすがに冗談ぽくしか仰らなかったけどな」

まぁ、とナスル姫も、今初めて聞いたように、小さく声を上げた。

「叔父上は、わたくしたちを気にかけてくれてましたものね。お兄様が宰相になってしまわれたから、叔父上はお兄様を諦めざるを得なくなってしまったんですの?」

「そう・・・・・・かもな。昔は俺も子供だったから、養子に、という考えがまずあったんだろうが、今は養子として叔父上のところに入らなくても、知事として派遣されればいいわけで。だがそれも、俺が宰相の地位に就いてしまったから、叔父上の希望だけでは、俺を一知事の位まで落とすことはできん。宰相になってからは、叔父上のところにもあまり行けてないから、俺の考えもわからないだろうし」